日々の思いを本気で伝える!修造コラム

2019年01月26日大坂なおみ選手、全豪初制覇!!

なおみさん、グランドスラム連覇、全豪初優勝、世界一、おめでとう!!

大会前、自らの精神年齢を3歳児と言っていたなおみさんは、ベスト4入りした後のインタビューで 「たぶん1年成長してハッピーバースデーだから4歳、かな」と自分を褒めていました。僕が見ていて、今回のなおみさんにとっての全豪オープンは、“まいにちが誕生日!”だったように思えるほど、プレイをする度に、試合をする度に、なおみさんは成長していきました。技術も心も含め、これだけ進化していく選手は、僕は見たことがありません!クビトバ選手にとってもなおみさんにとっても、最後の最後まで激戦、苦しい苦しい戦いでした。でも、どんなに心が崩れても、必死に冷静さを取り戻し、なおみさんはどんどん強くなっていった。決勝戦にふさわしい素晴らしい試合でした。

女子決勝 大坂なおみ 7-6,5-7,6-4 ペトラ・クビトバ(チェコ)

大坂なおみ選手が世界NO1、世界女王に!

日本人テニスプレイヤー“世界一”が現実になった。なおみさんはツアー優勝が2回に対し、クビトバ選手はなんと26回の経験を持つ。お互いの心が1つになったバトル、最高の試合。

<第1セット>

クビトバは完全にラリーを避けた展開。どれだけ自分から主導権を得ようとも、1球目からエースをとりに行く。なおみさんもリターンの位置を前にし、早い展開にチャレンジし続ける。

大坂選手のサーブで0-30、クビトバがブレイクポイント2つ。しかし、焦らずサーブの組み立てでブレイクポイント凌ぐ。2-2 

クビトバのサーブ 30-40、バックに逃げる左利き特有のサーブに苦しめられる。2-3 

なおみさんサーブ 0-40、クビトバはゾーンに入っていたが3つのブレークポイントをサーブとストロークで粘って奪い返す!3-3 

40-0から40-30 、18回を超えるラリー。なおみさんのスーパーショットで返球。危ない場面もなおみさんは落ち着いて、そして攻撃した!5-5 

ダブルフォルトから始まったクビトバサーブ。30-40 とクビトバのフォアが炸裂。なおみさんのアドバンテージでセットポイント ボール1個アウト。クビトバは叫びながらの闘志を魅せた。まさにタフ!6-5 

6-6タイブレーク 何度もやられていたクビトバの逃げていくサーブをバックのストレートエース!その後もなおみさんの集中力は落ちることなく7-2で1セットを先取!ものすごいフォーカス!タイブレークで一番のプレーをしたなおみさんに対し、クビトバは自分を出せず…なぜなら、なおみさんが何度も苦しめられたアドバンテージサイドのバックに逃げるサーブを、タイブレークではエース返球。完全にクビトバの心を崩していた。7-6

<第2セット>

セカンドセット序盤はなおみさんペース。タイブレークでもう1段階ギアがあがった状態のまま、なおみさんの勢いが止まらない。5-3の40-0でなおみさんトリプルチャンピオンシップ。きたぁ~!っと拳を握りしめたが…。

3本のチャンピオンシップポイントを握られた状態で、クビトバ渾身のプレーでなんとサービスキープ。この時のクビトバは凄かった!どのショットも追い詰められているとは思えない思い切りのプレーに目を見張った。クビトバのショットが炸裂。よりコートの内側から強打が入ってきた…クビトバが輝き始めてしまった。ジワジワと迫ってくるクビトバのショットに苦しみだしたなおみさんはダブルフォルトでセカンドセット5-7。クビトバがイーブンに戻した。トリプルマッチポイントが取れなかったことで、心が崩れてしまったように見えたなおみさん。タオルをかぶってコートを離れた。トイレットブレークで切り替えて欲しい!日本中の人たちがこう願ったことでしょう。

<ファイナルセット>

このままの流れで展開してしまうのか、それとも落ち着きを取り戻すのか、ドキドキのファイナルセット。トイレットブレークから戻ったなおみさんは冷静さを、そしてあえて無表情を保ち、自分の心を保つことにつとめていたように見えました。

1-1からのクビトバサービス。40-40でなんとクビトバがダブルフォルト。いきなりやってきたブレークチャンス!ストローク戦を制し2-1。サービスブレーク、巡ってきたチャンスをしっかり掴んだ!そして・・・耐えて耐えて耐えているなおみさん、ここぞの時にサービスエース、スーパーショットと完全に戻ってきた!

4-2 クビトバのミスが続き0-40。だが、ブレイクポイントを掴むが掴み切れない。ここぞの時に全て切り抜けていくクビトバのテニスに言葉がない…。

5-4 なおみさんサーブ。ここで小雨が降ってきたが、試合は続行。落ち着いて1ポイント1ポイント丁寧にプレーし、40-0。サービンフォーザチャンピオンシップ!

やった・・・やりました、やってくれました!

なおみさんが決勝をものにした一番のポイントはなんといっても適応力!試合の中で一番苦しんだクビトバの逃げるサーブ。最初は全く返せず、1セットのタイブレークまでは100%クビトバのポイントになっていました。しかし、受けるたびに位置を変え、タイミングを変え、最後に適応させました。ここがなおみさんの本当の力!

全米に続いて2大会連続優勝。なおみさんは『グランドスラム勝ち癖』をものにしたと言っていいでしょう。「グランドスラムで優勝することは難しい」錦織圭選手をはじめ、あと一歩のところまでいった選手たちはみなこう思っています。でも、なおみさんは知っています。グランドスラムで優勝するためには、どのように2週間を戦え抜けばいいのか。それは、全米優勝を経験したことで、その術を彼女は知っているのです。その勝ち方は、ここぞという時に自分からポイントを奪っていく力、それが勝利へとつながったと感じています。そして、世界一を継続する大きな力を手に入れたと僕は確信しています。

踏ん張った、我慢した、信じ続けたテニスでした。流れが相手に移っても、なおみさんは修正点を見つけ、心もしっかりと立て直すことができました。とにかく拍手を送り続けたい。本当によく最後まで諦めずに最高の試合を僕らに見せてくれた。そして、クビトバ選手も素晴らしかった。最後、握手を求めてきたなおみさんに対して、「おめでとう!」となおみさんをHug!つらい経験をしたクビトバ選手だからこそ、諦めずに苦労を乗り越えてきた。そんなクビトバ選手もある意味“チャンピオン”だと僕は思います。

なおみさんを通じて、僕にとってたくさんの学びがありました。心から感謝したいと思います!

再び日本中を沸かせてくれてありがとう!なおみさん、おめでとう!!

Photo by tennis.jp ☆塚さんありがとう!