日々の思いを本気で伝える!修造コラム

2020年01月04日【世界テニス国別対抗戦ATPカップ2020】日本は初戦のウルグアイ戦を3-0で完全勝利発進!

2020年、テニス界のカレンダーが変わった。

年明け早々の1月3日から12日までの10日間、テニス世界最強国を決めるATPの新しい大会が始まったのだ。

その名も「世界テニス国別対抗戦ATPカップ2020」

まず前半の6日間は、オーストラリアの3都市、ブリスベン、シドニー、パースでグループステージが開催され、出場24カ国が4カ国からなる6つのグループに分かれて総当たり戦を行い、各グループ1位の6カ国とグループ2位のうち成績上位2カ国の計8カ国が後半4日間シドニーで開催される決勝トーナメントに進むことができる。

日本が入ったのはグループB。グループステージの試合はパースで行われ、世界ランキング2位のスペイン、13位のジョージア、22位のウルグアイと戦います。

今後、この大会がテニス界にどのような影響を与えるのか、選手やテニス関係者が今一番注目している大会でもある。いまだ手探りの部分はあるものの、この大会が成功するかどうかは、今後のテニス界にとってとても大きな意味を持つことは間違いなく、全豪オープンを前に、オーストラリアで試合ができるのは選手にとっても貴重なことです!

まず「世界テニス国別対抗戦ATPカップ」のここがスゴい!

●賞金総額1,500万ドル(約16億円)!!
グランドスラムやデビスカップに続く高額賞金は選手にとっても魅力の一つ!

●ATP世界ランキングポイントを獲得可能!!(シングルスは最大750ポイント、ダブルスは最大250ポイント)
今年開催される東京オリンピックに向けて選手にとっても重要なポイントになる!

●チームキャプテンは選手でもOK!!
各チームのシングルスNo.1の選手がチームメンバーと相談してチームキャプテンを決定するのですが、No.1の選手自身がキャプテンになることも可能!同国籍であれば、ディビジョン1のATPプレイヤー、ATPコーチメンバー、各国の有資格コーチという条件をクリアすればキャプテンになることができる。

●オンコートコーチOK!!
通常、男子のATPツアーの試合でのコーチングは固く禁止されている。ただ、デビスカップの国別対抗戦もそうだが、今回のATPカップもコーチングが可能で、チームキャプテン、試合をしている選手の個人コーチ、もしくはチームメンバーの選手までもがオンコートコーチOKなのは、選手にとっても心強い限り!

●チーム席の位置が選手に近い!というか一緒!!
デビスカップのときのチーム席は、コートサイド側にある選手席の後ろにあるが、今回のATPカップでは、コートエンド側にあり、選手も一緒にそこに座れる!プレーしているときも、コーチやチームメイトの声が届きやすい場所にあり、よりチームを身近に感じられるはず!

 

年明け早々から、テニスを地上波で放送していただき、その解説ができるということは僕にとって・・・とてつもなく幸せなことです。

そして、今回の「世界テニス国別対抗戦ATPカップ2020」に出場するわれらが日本代表はこちら!

西岡良仁選手(シングルス73位)、添田豪選手(シングルス121位)、マクラクラン勉選手(ダブルス44位)、松井俊英選手(ダブルス177位)の4人。

岩渕聡キャプテンのもと、若手とベテランが融合したチーム日本です!

今大会に、錦織圭選手という日本のエースが怪我で出場できないのは、日本にとって大きな痛手ですが、西岡選手、添田選手らチームメイトも、出場できない錦織選手のつらさは痛いほど分かっているはずです。

だからこそ、今回のこの大会にかける選手たちの思いはとてつもなく強い

日本は、特に団体戦になるとより強さを発揮できるチームだから期待大です!!

そんな中、本日行われたチーム日本の初戦の相手はウルグアイ。

その結果は…みんなやってくれました!!

まさに、明けましておめでとうテニス!!!

ウルグアイに対して、日本はシングルス2戦、ダブルス1戦ともにストレートで勝利し、期待どおりの3₋0スタート!

6日に行われるジョージア戦に向けて、最高のスタートを切りました!

①シングルス第1戦はNo.2同士の添田豪選手vs マルティン・クエバス選手の対戦。6₋1、6₋3のストレートで勝利!

マルティン・クエバス選手は、ウルグアイのNo.1選手パブロ・クエバス選手の弟ですが、僕も今回初めて見た選手。初見では、フォア、片手バックハンドともに力で打っていくタイプの選手ですが、最初の2ポイントを見て分かったことは、、、フットワークが良くなく、コートの後ろで打ちすぎているということ。とはいえ、191㎝の長身から打つパワーのあるサーブも持っているだけに、調子に乗ってくるとコワい選手です。

ただ、今日の添田選手はマルティン選手を調子に乗らせることはなかった。そのくらい調子がよかった。打点も早く、コートの内側でプレーし、積極的にネットプレーもできていた。そして、ミスも少なく、サービスも調子がいい。完璧とも言えるテニスでした。

リズムでプレーするスタイルの添田選手にとっては、いい意味で力が抜けていたこともよかった。テニスは体だけではなく、心理状態も大きくプレーに影響するスポーツだからこそ、頭を使って試合中の相手選手の性格や心理状態も冷静に把握していかなければいけないが、今日の添田選手はマルティン選手の状態もよく分かっていた。ゲームカウント6₋1、6₋3で勝利したものの、スコアほどの圧倒的な実力差はなく、デュースが続くなど競ることも多かったが、大事なポイントを取り切れたのも添田選手が落ち着いて試合ができていた証拠。また、ベースライン上でプレーすることで、自分の移動距離は少なく、相手を左右に振ることができて、あまりパワーを使わない省エネテニスでした。お見事!!

まずは日本の初戦を勝利でスタートさせてくれた添田選手に、ありがとう!!!

②シングルス第2戦は両国No.1同士の西岡良仁選手vs パブロ・クエバス選手の対戦。6-0、6₋1という圧倒的なスコアで勝利!

まさかこんなワンサイドの展開になるとは思っていなかった。正直まったく予想できなかったスコア。そのくらいパブロ・クエバス選手は世界ランキング45位という実力もあるが、真面目でミスをしない、精神的にも落ち着いたプレイヤーなのだ。

そんなパブロ選手に対して、6₋0、6-1というスコアは、パブロのミスが多かったということもあるが、西岡選手のプレーが見事だったと言うしかない。粘り強いフットワークと高いコートカバリング力で、とにかく走り回ってボールを拾って相手コートにボールを返すので、相手がどこに打ったらいいのかが分からなくなってくるのだ。

そして、あきらめない強い心に、発想力豊かな様々なプレーは、見ていても楽しく、すべてのショットに何かしら工夫しているのは、まさにマジシャン良仁

そして、足と読みがはやいのも良仁の魅力だ。テニスは、3~4球先のショットまで読まなければいけない将棋やチェスと似たところがあるスポーツだが、先を読む力は選手にとって必要不可欠な能力。そして、これだけリードしていても守りに入ることなく、チャンスがあれば勇気を持ってどんどん攻めていったのも勝因の一つだろう。

その結果、最もミスの少ないパブロ選手が、最もミスの多い選手になってしまった。後半はパブロの心がどこかにいってしまっているようだった。パブロをここまで追い込んだのは、まさに良仁のテニスだった。テニスは、たった1球で、ゲームの流れが変わってしまうだけに、最後までずっと集中してテニスできたことも素晴らしい!

そして、何よりも驚いたのは、この試合のリターンのミスがたった1球だったということ!
格上の選手相手にこれだけの試合ができたことは、次戦に向けて大きな自信になったはずです!!

 

そして、添田豪選手、西岡良仁選手に共通していること、それは体が小さく、周りから「世界で戦うのは厳しい。ムリだ」と言われても、自分を信じ続けたこと

添田選手は、世界的に有名なボブ・ブレットコーチからは「世界で活躍するのは厳しい」と言われたが、自分を信じてコツコツ努力し、研究し、海外には行かず、日本国内だけでトレーニングを積んでも世界ランキング47位まで上り詰められるということを証明してくれた。

西岡選手も、特に身長が170㎝という小さな体で、周囲から「背が低い選手は世界では通用しない」と言われても、自分を信じて挑戦し続け、シングルスランキング58位まで上り詰めた。今後はそれ以上のランキングまでいく可能性も十分ある。

この二人が体現してくれていることは、日本のジュニア選手にとっても大きな希望になっている。大事なのは、周りから何と言われようと、自分は「できる」と信じること!

③本日最終試合となったダブルスは、松井俊英選手/マクラクラン勉選手vs アリエル・ベハール選手/パブロ・クエバス選手の対戦。7-6(5)、 6-4のストレートで勝ち、日本の3-0での勝利が決定!

今回日本代表に選出された松井選手は現在41歳。もしかしたら、中には驚いた人もいたかもしれませんが、内山靖崇選手がケガで出場できない中、ダブルスランキング177位の松井選手は、マクラクラン勉選手に次ぐ日本国内では2番手の選手。今実際に組める日本最強のペアでこの大会に臨んでいます。

そして、期待通り、二人もやってくれました!この勝利は、チーム日本にとって大きな大きな一勝です!
41歳でも「できる!」ということを自ら証明してくれた松井選手には勇気をもらった人も多いと思います!!

 

日本という国を代表して戦うというのはとてつもないプレッシャーがつきまとう。

そんな中、岩渕監督、高田コーチはじめ、チームメイトみんなが心を一つにして頑張った最高のプレーでした。

年始から、日本人として誇らしい素晴らしいプレーを見せてくれたことに感謝!

心からありがとう!!

次は、6日のジョージア戦。決勝トーナメントに進出できるかどうかを左右する重要な試合です。

さぁ、チーム日本、心を一つに!

松岡修造

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僕の次の解説は、8日(水)のスペイン戦のシングルス2試合です!

スペイン戦には、世界ランキング2位のラファエル・ナダル選手や9位のロベルト・バウティスタ アグト選手が登場!!

世界最高峰の戦いをみなさんお楽しみに!!

【放送予定】
1月8日(水)
グループステージ「日本×スペイン」
午前11:00~ BS朝日
ひる12:50~ テレビ朝日

https://www.tv-asahi.co.jp/atpcup/#/