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報道ステーション フリーダイバー岡本美鈴選手~イルカに魅せられ"カナヅチ"から銀メダル

今回取材させていただいたのは、フリーダイバーの岡本美鈴さん、40歳。

先月ギリシャで開催されたフリーダイビング世界選手権で、日本人初となる銀メダルを見事獲得しました!

しかし、美鈴さんがこの快挙を達成するまでには、幾多の困難が...

美鈴さんは、なぜその困難を乗り越えることができたのか、

そしてどのようにフリーダイビングと出会ったのか、お話を伺いました。

 

フリーダイビングとは、空気タンクを使わずに、どれだけ深く潜れるかを競うスポーツ。

まず自分の潜る深さを申告して、海の底へ。

目的地まで到達すると、糸で繋がれたプレートを取り、自力で海面へ戻っていきます。

時間にして約3分。最も過酷なのは、海面に戻る瞬間だそうです。

美鈴さんが世界選手権で挑んだのは、水深86m。

酸欠状態で意識を失う選手もいる中、見事成功です!

 

美鈴さんの練習場所におじゃまして、一緒に少し潜ってみましたが、本当にきつくてしんどい。。。

それなのに、なぜそんなに深く潜れるのか。

そのためには、水の中を縫うように、まるでS字を描くように、身体全体を柔らかくしならせてフィンを蹴って進み、

なるべく抵抗の少ない泳ぎ方で、酸素消費量を節約しながら潜ることが理想だそうです。

実は、この泳ぎ方にはお手本があるんだとか。それは「イルカ」。

美鈴さんは水族館に通って、イルカを見ながらイメージトレーニング。

そして、イルカのしなかやかさを身につけるためにヒップホップダンスも習い、

さらには、イルカの動きをしながら歩くウェービングウォーキングも日常生活の中に取り入れるなどなど、

イルカに近づくために考えうる様々な方法を積極的に試し、実践しているんですね。

 

こうして、今では世界のトップダイバーにまでのぼりつめた美鈴さんですが、

実は10年前まで、海に潜るのはおろか、泳ぐことすらできない“カナヅチ”だったというから驚きです。

海とは全く無縁のごく普通のOLだったという美鈴さん。

しかし、20代のときにに起こった2つの出来事が、人生を変えたそうです。

1995年3月20日に起こった地下鉄サリン事件。

実は、通勤途中の美鈴さんも、あの電車に乗っていて、

意識が朦朧とする中、初めて死を間近に感じたんだそうです。

そして、その翌年、今度は卵巣腫瘍が発覚し、症状は重く、手遅れ寸前。

そのとき美鈴さんが感じたのは、「自分の明日は何も保障されてない」ということ。

「生きていることが当たり前のように、来年の夏が当り前に来るように、そのときは感じて生きていたけれど、

そんなこと誰にも保障されていないんだということが分かって、

今持っているものとか、これから出会う好きなもの、そういうものを大事にして、

何が起きても後悔が残らないように、全力を尽くしていきたい」と思うようになったそうです。

 

そんなときに、偶然テレビで目にしたのが、イルカと人間が一緒に泳ぐ姿。

「今までにない挑戦をしてみたい。カナヅチを克服して、自分もイルカと一緒に泳ぎたい」と強く思ったそうです。

そこに、さらなる偶然が重なって、ある日本代表のフリーダイバーの方と出会い、

イルカと一緒に泳ぐには「フリーダイビングが一番早道だよ」と教えていただいたんだとか。

決断したとき、美鈴さんはすでに30歳。

それでも、日本の第一人者のもとに飛びこみ、猛特訓!

そして1年後、ついにイルカと一緒に泳ぐという夢を実現させたのです。

ものすごい達成感を感じる中で、美鈴さんが思ったのは「またその奥が見てみたい」ということ。

次第にフリーダイビングの虜になり、記録を伸ばすためにあらゆる方法を探し求めるようになっていったそうです。

その一つがヨガ。

緊張感や恐怖感があると、酸素の消費量が多くなると言われているので、

それを抑えるために瞑想して、心を落ち着かせるのが狙いです。

さらに、少ない酸素でも運動能力を高められるように、高地登山の訓練に使う低酸素室での訓練も始めました。

すると、競技を初めてたった3年で、日本記録を樹立!

一昨年の世界選手権では、日本人初の銅メダルを獲得!

去年は、世界歴代3位となる水深90メートルを記録!

そして、先月の世界選手権での銀メダルです!

「毎回これが最後かもしれないという思い、そして、来年があるからとは思わないで、

今できることを全力でやっていって、これ以上ないぐらい思い切り自分を出す。

いつ終わりが来ても、いつできなくなっても、悔いがないようにしたい」

という美鈴さんの強い言葉には、彼女の相当な覚悟を感じましたね。

 

今回僕は美鈴さんにお会いして、自分の「限界」という言葉の認識が変わりました。

「限界まで頑張る」。僕は「限界」=「ゴール」という捉え方をしていたのですが、

美鈴さんの場合は、限界の先に醍醐味があり、「限界」=「スタート」という捉え方をしていて、

僕が知らないような達成感を知っているので、とにかく成長が早いですよね。

3年間で、カナヅチから日本記録まで樹立しちゃうんですから。

現在、101mというのが世界記録なんですが、「そこまで行くんですか」と質問したら、「潜れます」と即答。

限界を自分で作っていないのですから、可能性は無限ですよね。

今、美鈴さんは40歳ですが、世界記録保持者は51歳。

フリーダイビングは、まだまだ美鈴さんの限界を楽しめる競技なんだなと思いますね。

 

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