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報道ステーション テニス 錦織圭選手~知られざる苦悩を乗り越え"ニュー圭"誕生の予感

今月13日に開幕したテニスの全豪オープン。

もちろん、錦織圭選手も第16シード選手として出場しています。

今季ツアーの初戦となるブリスベン国際大会では、ベスト4進出と好調のスタートを切った錦織選手ですが、

実は、昨年大きな壁にぶつかっていたそうです。それは「トップ10入り」というプレッシャーの壁。

ただ、一つの試合、一つのきっかけによって前に進むことができた。

新しい錦織圭、「ニュー圭」の誕生です!

 

3年前の2011年、錦織選手が初めて口にした「トップ10入りが自分の中でも見えてきた」という言葉。

以来、常にこの言葉を繰り返してきました。「まずトップ10に入るのがひとつの目標」と。

そして去年は、日本のテニス界にとっても、これまで想像すらできなかった未知の領域に、あと一歩まで迫りました。

4大大会の全豪オープン、そして全仏オープンと2大会連続でベスト16に入り、

世界ランキングはついに11位まで上昇したのです!

 

ところが、誰の目にも順風満帆に見えたその裏側で、錦織選手は人知れず苦しんでいたそうです。

トップ10にこだわりすぎて、そのことで考えすぎていた時期があったんだとか。

僕が現役時代に絶対しないようにしていたのは、「ランキングを見ること」。

それは、ランキングを見てしまうと、来週負けると、この選手に抜かれてしまうなとか考えて、

目の前の試合に集中できなくなってしまうから。

昔はほとんどランキングを見ることはなかったそうですが、

最近は、この大会で自分がここまで行けばトップ10に入るとか、

ランキングがいくつ上がるだとか、気にするようになってしまった。

そして、「トップ10に入る」という周りからの期待と、自分もそこを見ようとしたことが、マイナスに働いてしまい、

自分自身を苦しめすぎて、目の前の試合に勝つ!となかなか思えなかったそうです。

その結果、全米オープンは格下の選手にまさかの1回戦ストレート負け。

僕も目の前で見ていましたが、本来の錦織選手のプレーが全然できていなかった。

このとき、精神的に相当追い詰められたんだなと感じましたね。

 

全米オープンでの惨敗から2週間後、日本に帰国した錦織選手が、

どん底の状態のまま迎えたのが、「国別対抗戦デビス杯 日本vsコロンビア」です。

「デ杯ですべてが180度変わりました。デ杯は、国別対抗なので、

モチベーションが嫌でも上がる、それに懸けてみようと思っていた」と言います。

しかも、このデ杯は、日本がワールドグループ(世界上位16ヵ国)に昇格できるかどうかが決まる大事な一戦。

僕も出場したことがありますが、デ杯はグランドスラムとはまた違い、

国の代表として戦うので、相当プレッシャーがかかるんです。

ただ、ここでの錦織選手のプレーは、全米オープンのものとはまったく違った。

全米オープンでは追うことすら諦めていたボールにくらいつき、相手のミスを誘う。

そして、日本は見事デビスカップワールドグループ昇格を決めたんです!

 

「この試合は負けられない」「絶対勝つ」と思えたところが一番のキッカケだった。

どのショットも臆することなく打っていけたし、ミスをしてもポジティブにしっかり自分の強い気持ちを持って戦えたという錦織選手。

人知れず抱えていた、「プレッシャー」という大きな壁を乗り越えたのです。

そして迎えた2014年。錦織選手が口にしたのは、「トップ10ではなく、トップ5以上に入っていくことがこれからの目標」ということ。さらに、トップ3に入るためには、自分のテニスも少しずつ変えていく必要があると。

 

2014年は、気持ちも動きも前向き、攻撃的で、新しい錦織圭が見られる年だと思いましたね。

しかも、今年は「チームケイ」に新しいコーチが加わりました。

自己最高世界ランキング2位、全仏オープンでは史上最年少で優勝したマイケル・チャン選手です。

彼の良さは「戦略家」で、とにかく「メンタルが強い」といこと。

その2つが錦織選手の中に注入されたら、トップ3入りが近づいてくると思いますね。

今年、進化した圭が見られるかと思うと、楽しみで仕方ありません!

 

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