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報道ステーション モーグル 上村愛子選手~5回目の五輪へ

今回取材させていただいたのは、モーグル日本代表の上村愛子選手、34歳。

1998年の長野五輪で7位、2002年のソルトレーク五輪で6位、

2006年のトリノ五輪で5位、2010年のバンクーバー五輪で4位と、

これまで、一つずつ階段を上がってきて、ソチ五輪は、5回目の出場となります。

 

ただ、今まで実力がありながら、メダルに手が届かなかった愛子さん。

その理由は「気持ちのコントロールがちょっと下手で、心がすこし弱いから」。

「あとほんの小さなピースが欠けているだけ」という愛子さんは、

いつもスタートに立ったとき、W杯や世界選手権では、堂々としていられたんだそうです。

息を吐いても吸っても力も抜けないし、力が満ちている感じで滑っていけた。

ただ、オリンピックのときは、緊張していつもの7割くらいの力しか出せない・・・

このメンタルの弱さを特に痛感したのが、前回のバンクーバー五輪。

2007年~2008年W杯種目別年間優勝、2009年世界選手権金メダルという輝かしい実績を引っ提げての出場で、

このオリンピックでも金メダル候補と見られていました。

しかし、結果は4位。

メダルにあと1歩届かず、集大成として挑んだオリンピックを終えて、愛子さんは休養を宣言。

正直、バンクーバーが終わったとき、僕は、愛子さんは絶対に競技を辞めると思っていたんです。

でも、この4年間で愛子さんの心を変えるきっかけがあったんですね。

それは、トリノ五輪アルペンスキー4位入賞の皆川賢太郎さんとの結婚生活。

バンクーバー五輪からちょうど1年くらい経ったとき、賢太郎さんが言った何気ない言葉が、

愛子さんの心を大きく揺り動かしたんだそうです。

それは、賢太郎さんとお友達の3人でコブを滑る機会があったときに、

「やっぱり愛子はモーグル滑るのが上手いな。何でそんなに弾かれないの?

何でそんなに柔らかく降りられるの?」と言ってもらったこと。

そのときに、「人に褒められるのって、純粋にすごく楽しいことだな」と思ったそうです。

「こんな技術を自分は持っているのに、しかもケガもしてなくて、

気持ちが前に向かないだけで、やめようかどうしようかと考えていたので

もしやれる環境もあって、やれる身体もあって、あと気持ちが乗れば、

やればいいじゃない」という気持ちになったという愛子さん。

 

さらに、愛子さんは結婚生活を送る中で、賢太郎さんからあることに気づかされたと言います。

それは、自分の周りの人たちと良い繋がりをもち、共有することの心地よさ。

結婚する前は、一人でいることに慣れすぎていて、一人の空間で集中するのがすごく好きだったそうです。

そうじゃないと集中できない。さらには、強くなるためには他人を必要としちゃいけない。

甘えちゃいけないとまで思い、自分で勝手にバリアを張って一人になっていたんだとか。

でも賢太郎さんは違ったんですね。

「賢太郎さんは周りが見えている人で、自分のチームの人たちとすごくいい関係を築いていて、

いつも笑顔でご飯を食べたりする一方、滑るときは「自分の仕事はこれだ!」って集中してやる。

そのことが、うらやましいなと思った」そうです。

 

2011年4月、1年のブランクを経て競技に復帰し、オリンピックに再挑戦。

そこには、以前とは違う愛子さんの姿がありました。

練習でも、後輩の男子選手に積極的にアドバイスをもらったり、反省会したり、

さらには、フィンランドW杯開幕戦という緊張感が高まるはずの試合当日でも、愛子さんスマイル全開です!

今まで一人で集中していた愛子さんには、見られなかった光景ですよね。

 

何が一番変わってきているか聞いてみると、

「緊張が楽になっている。緊張しないですね。今ほとんど。」という答えが返ってきました。

良い集中ができているということですよね。

今がスゴい楽しいという愛子さんは、かつてない心の強さを感じています。

そして、仕上がってきたのは心だけではありません。

身体もまた4年前とは見違えるほど大きくなっていました。

心も身体もすべてがパワーアップして迎えたオリンピックシーズン。

先月開催されたW杯開幕戦では、オリンピックでのライバルも揃う中、見事銅メダルを獲得!

あと少しと迫ったソチオリンピックでも堂々のメダル候補です。

 

僕はどうしても超応援すると思うんですよ、愛子さんに対しては。

でも、そこは正しい応援でありたいですね。

「メダルに繋がる滑りができるといいなと見守ってもらえたらありがたい。」という愛子さんの

「自分を信じる想い」を、僕も現地で心から応援しますよ。 

 

今まで愛子さんにインタビューして感じていたのは、凄く真面目だからこそ、

どうしても深刻に捉えてしまっているということだったのですが、

今回の取材では、前向きな愛子さんの「真剣さ」がすごく伝わってきたので、

出てくる言葉もすべてプラスなものばかり。

そして、スゴく良い表情をしていたので、僕もうれしくなりましたね。

賢太郎さんの心の広さで、大事なことに気づいた愛子さん。

「欠けていた最後のピースがはまった」愛子さんは、ソチ五輪で彼女の本当の力が出し切れると思います!

 

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