日々の思いを本気で伝える!修造コラム

2015年09月01日ショック…全米オープンテニス 

全米オープンテニス2015、昨年の準優勝者、そして世界4位の錦織圭選手が、

初日第一試合、1回戦で姿を消した・・・

 

はっきり言って、僕の落ち込みようは半端ないことを理解していただきながら読んでいただきたい。

 

スコア : 錦織圭 4-6,6-3,6-4,6-7(6-8),4-6 ブノワ・ペール

試合時間 : 3時間14分

 

負けた。

日本の、世界の圭が負けた…これは日本人だけではなく、大会側としても最も大きなBig Upsetだ。

 

ただいま放心状態の松岡修造…、同時に放心状態の錦織圭選手…

 

試合終了後、会見後に圭と話すことができた。まさに・・・

 

どうしてこうなってしまったのか、わからない・・・

 

そんな状態だった。テニス選手として、その気持ちは痛いほどよくわかる。

なぜなら圭のテニスは悪くなかった!からだ。

 

圭も僕をじっと見ながら話してくれたが、この全米オープンにもっともよい形で入ってきて、試合中も

決して悪いテニスではなかった。ただ、自分のペースに持っていくことができなかった・・・

 

まず、僕は想定外テニス、常識外テニス、見たことないテニスを全うしたペールに対しておめでとうと

言いたい。

 

斬新なテニス、訳がわからないテニス、教科書にないテニス、まさに・・・

ペールゾーンテニス(無我の境地テニス) だった。

 

本当にペールは曲者だった!あまりにも常識外テニスだったので、圭はまったく自分のリズムをつか

むことができなかった。

 

言わせていただこう。あまりにも常識外のテニスを!(試合前予想コラムを参考に読んでください)

 

☆イチかバチか!エースかミスかテニス!

サービスエース、圭が34に対し、ペールは64。

凡ミス、圭が36に対し、ペールは67。

ストロークのラリー(お互いのストロークがミスせず続くこと)がほとんどない。

 

☆大事なポイントだけゾーン

ここぞというとき、急に今までミスしていたショットがコートにねじ込んでくる。

試合トータルポイント、圭160に対し、ペール156・・・ポイントは勝っている!

 

圭は相手にプレーをしっかりとさせてリスクを犯さないテニスに徹していった。

(試合後、圭とも話したが、じっくりとプレーする戦略は正しかった!)まさに・・・

 考えられない相手のテニスだったのだ!

 

想定外ショット、いわせてもらう・・・

 

☆なんでわざわざバックハンドに回り込んで攻撃するんだ!

女子テニスにはあるが男子では考えられないこと。ここまで回り込んでくるのは想定外・・・

 

☆ベースラインより後ろから何度ドロップショットを放った?

考えられない状況からのドロップショット、初心者がみてもわけわからない・・・そういうはず。

ありえないドロップショットはミスばかり・・・ただ、大事な時だけミラクルが入った、これは想定外・・・

 

☆いつもあんなファーストサーブ放っていないじゃないか!

特に4セット目からのファーストサーブはキレがあり21本のエースは想定外!

 

想定外はテニスのプレイだけではなかった・・・

 

☆第1セット、サーブを放った際、手が滑りラケットを放り投げてしまうペール。

完全にラケットが折れた音がした。すると審判のところに行き、「俺はこのラケットしかないんだ!

どうすればいい!」と急に言い出した・・・審判は「コーチに借りるか、誰かのラケットを借りるしか

ない」そんな話が飛び交っていた。

普通選手はコートに最低5,6本は持っていく。僕は10本持っていった。ありえない…勿論ガット

を張り替えていたのだろうが、1本でコートに現れる選手なんてきいたことない。そして次のゲーム、

コーチから「カバンをみてみろ!」といわれチェックしたら、ちゃんとラケットがあった・・・

 

ありえない光景だった。

 

☆ひとりフランス語喋り・・・

ポイント間、いつも大きな声で呟く、そして叫ぶペール、常識外トークだ。

圭としては相手が何を言っているかわからないし、プレイの妨げになると審判に伝えることが出来る。

(因みに、プレイ中「できる!できる!できるぞ修造!」と叫んでいた自分。選手から注意された経験アリ・・・)

 

試合中、独り言を言い続ける、こんな選手はいません。圭、本当にやりにくかった・・・

 

ただ、負けは負けである。

 圭自身が最も期待していた全米オープンだけに、悔しさはこれからこみ上げてくるはず・・・

 

では、圭にはチャンスがなかったのか?

テニス解説者として記します。この試合最も大きなポイントは・・・

 

☆第4セット 0-1 圭のサーブ。

 どうにか、2,3セット目を奪い、普段の圭ならこのまま勢いに乗っていくところ。しかも相手のメンタル

もダウンしているとき。その場面で圭、集中力が乏しく見えた。簡単なミス、そして体からでる覇気がな

かった。この場面でしっかりとプレイしていたら間違いなく4セットで勝っていたはず。僕は解説していて、

このプレイで4セット目はペールのペースになると言わざる負えなかった。

 

温度30度近く、湿度もある暑いスタジアムだったが、体力のある圭としてそれほど負担になっていな

かったはず。ただ心のスタミナはことごとく減っていた。

相手の常識外テニスにより、心のジェットコースター、UP DOWNの激しさにより、自然と体にも負担が

かかってしまっていたのだ。

 

☆第4セット タイブレーク 6-4 マッチポイント 得意のフォアハンド逆クロスミス・・・

圭らしくないミスだった・・・

このポイント、圭に聞いてみた。

「どうしても早く決めたいと思ってしまいました。じっくりと繋げなければいけないポイントでした。4セット目

を失いファイナルセットに入って、マッチポイントのことが忘れれずペースをつかむことができず終わって

しまった・・・」

 

何があっても最後まで諦めず戦っていた圭。

ただペールは最後まで常識はずれテニスを貫きとうした。

 

これは、褒める以外にない!

 

今回、圭のお蔭でWOWOWの解説者の一人として参加させていただいた自分。

試合後、「言ってはいけないことをいいます。」と前置きをした後、「日本に帰りたい」と言ってしまったが、

日本の皆さんの思いも含め、それだけ僕が落胆していたということを皆さんに伝えたかったのだ。

 

圭が一番悔しいのは間違いない。

そして全米オープン後に待ち構えているデ杯(入れ替え戦)、楽天ジャパンオープン、そしてATPファイナル

に向けて切り替えて行かなければいけない。

 だた、これはそう簡単ではない。

優勝を狙っていた圭だからこそ、大きな心の負としてこれからのしかかってくる。そこをどうやって乗り越えるか。

そこを乗り越えた時、圭がまた大きく成長していることを期待したい。

 

だからこそ、まずは僕らが切り替えなければいけないんだ!

何のために全米テニスに来たんだ修造!!

世界のテニスを日本の皆さんにしっかりと伝えるんだろ修造!明日は西岡良仁選手の1回戦もある。

 

よーーーーーーし、みんな!

全米オープンテニスでWOWOWしよう!

 

すみません・・・悔しいです。抑えられないこの気持ち・・・

WOWOWOWOWOWOWOWOWOWOWOWOWOWOWOWOOW!!

 

っと言っているうちに、土居美咲選手が元世界5位のハンチコワ選手を撃破した!

まさにWOWOWだ!

 

明日もWOWOWする 修造より