日々の思いを本気で伝える!修造コラム

2011年10月06日報道ステーション 黒須成美選手~過酷を極める五輪競技・近代五種~

今回取材させていただいたのは、日本女子初の「近代五種」のオリンピック代表に決まった黒須成美選手、19歳。

 

「近代五種」という競技は、日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、ヨーロッパでは大人気のスポーツ。

特性のまったく違う5種目(1.フェンシング、2.水泳、3.馬術、4.ランニング、5.射撃)の競技を1日で行い、

その総合成績で争うという過酷なスポーツです。

 

5種類の競技を1日で競うわけですから、その練習も過酷です。

馬術の練習は、準備も含めて2時間、その後ランニングで400mのダッシュを繰り返し、

その合間に、射撃の構えをしてイメージトレーニング。

心拍数が200くらいまで上がり、頭が真っ白になるくらい苦しい状態の中で、

手の震えをおさえて、いかに正確に的に当てられるかは、重要なポイントです。

そして、次は実際に重さ1.2kgの銃を使った射撃の練習。

ここでも射撃後に、ダッシュを繰り返します。

このランニング+射撃の練習が合計3時間。

その走行距離は20kmにも及びます。

しかし、まだ終わりではありません。

水泳の練習では2時間で3km泳ぎ、週2回はフェンシングも1回2時間練習しています。

だから完全オフの日なんてないんです!

練習は1日4~5種目ですが、練習場所もバラバラなため、

長距離移動も当たり前で、200km移動することも!

 

こんな過酷でしんどい競技があるなんて。。。

僕は、成美さんに「この競技を考えた人ってどう思いますか?」と尋ねてみました。

すると、「ちょっと残酷」という答えが。

そりゃそうですよね。

でも、なぜこんな過酷な近代五種を続けているのか?

そもそも成美さんがこの競技を始めたきっかけは、元近代五種の選手だったお父さんの影響でした。

最初は、過酷で嫌だったそうですが、男子の試合を見て、

ユニフォームをコロコロ着替えて競技をするのがかっこいいと思ったそうで、

それ以降、親子二人三脚でオリンピック出場を目指して頑張ってこられたそうです。

 

成美さんは、今年5月に中国で開催されたロンドン五輪予選のアジア・オセアニア選手権に出場。

この大会で総合6位に入れば、オリンピック出場が決まるのですが、

最後の「ランニング+射撃」の競技の3週目で7位まで落ちてしまった成美さん。

もうダメだと思ったとき、お父さんの「オリンピック行けー」という声が聞こえたんだそうです。

お父さんも、生涯で一番でかい声を出したそうですよ。

今まで二人三脚で頑張ってきたお父さんのその声が、しっかり成美さんに届いたんですね。

最後の5mで前の選手を一人かわして見事6位入賞を果たし、オリンピックの出場を決めました!

本当におめでとうございます、成美さん。

 

お話を伺えば伺うほど、ありえない競技だと思うのですが、

僕はこの「近代五種」というスポーツがとても好きになって、

オリンピックで、はやくこの競技が見たい!と思いましたね。

 

成美さんには、日本の方たちにも、この近代五種というスポーツを知ってもらいたいという強い想いがあったので、オリンピックに出場できるというのは、とても大きな一歩ですよね。

ロンドンでの成美さんの活躍を期待しています!

 

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フェンシング、水泳、馬術、ランニング、射撃とまったく異なる5種目の競技を行う過酷なスポーツ「近代五種」。

知れば知るほど、その奥深さ、魅力を感じますね。

この近代五種の起源は、19世紀のフランス。

騎兵将校が馬で敵陣に乗り込み、剣と銃で敵を打ち倒し、

川を泳いで渡り、丘を走り抜けるという故事からできたんだそうですよ。